こんにちは!「いちじくびより」です。今回はイチジクの重要病害虫である「ネコブセンチュウ」の生態や、寄生されたイチジクの影響についてまとめています。近年いちじくの栽培人気を感じる一方で、今後は「ネコブセンチュウ」による被害も増えてくるのではないかと思われます。一度「ネコブセンチュウ」による被害が拡がってしまうと、イチジク農家さんは転作を検討する必要があるほど怖い微生物です。
次回の記事では「ネコブセンチュウの【対策】」についてもまとめていく予定ですのでそちらと併せてご覧いただけますと幸いです。
イチジクに寄生するのは「サツマイモネコブセンチュウ」
イチジクの栽培において被害が大きく、特に注意が必要なのは「サツマイモネコブセンチュウ」です。
ネコブセンチュウには、キタネコブセンチュウやアレナリアネコブセンチュウ、亜熱帯性のジャワネコブセンチュウ、ナンヨウネコブセンチュウといったいくつかの種類がありますが、本記事では「サツマイモネコブセンチュウ」について触れていきます。
「サツマイモネコブセンチュウ」の生態について
北海道を除く、全国に分布
東北から南西諸島に分布しています。北海道では自然分布していません。サツマイモネコブセンチュウは果樹、花卉、野菜と、寄生範囲は極めて多いです。被害の程度に差はありますが、イチゴと落花生を除いたほぼすべての農作物に寄生します。
悪さをするのは雌の個体
「サツマイモネコブセンチュウ」は雌雄異体ではありますが、圧倒的に雌の個体数が多く、植物に悪さをするのは雌の個体です。生殖器はなく、単為生殖で増えていきます。雌の幼虫は植物の根に侵入し、コブを作り、コブの内部に定住します。その後成虫となった雌はコブの外側に小さな卵のうを作り、その中に無数の卵を産み付けます。ふ化した幼虫は土中に遊出し、雌の幼虫には口針があり、植物の根に侵入します。なお、雄は土中を浮遊し、植物に侵入することはありません。卵から成虫になるまで(1世代)の期間がおよそ一カ月で、1年間で4~5世代の世代交代を繰り返し増えていきます。雌や卵はコブの中で越冬します。
活発な時期は5月から10月
雌の体長は約0.4mm。マチ針のような外観です。生育適温は20度から25度で、地温が高い5月から10月にコブの形成が著しくなりますが、地温が30度を超えると活動が鈍くなります。
イチジクは特に寄生されやすく、被害も大きい
イチジクは「サツマイモネコブセンチュウ」にとても寄生されやすい植物です。常に「連作」になるため「サツマイモネコブセンチュウ」を始めとした悪い菌が増えやすい土壌環境にあるといえます。また、感受性も高く、被害も大きいため、重要な病害虫になります。
なお、イチジクにおいて老木よりも若い樹のほうが比較的寄生されやすいという研究論文の報告もあります。
防除の必要性
味が落ち、数年後に枯れることもある
「ネコブセンチュウ」に寄生されたイチジクは、根に大小さまざまなコブができます。水や養分をうまく根から吸収できなくなり、また、根を通して水や養分を運ぶことができなくなります。人間でいうと、口やのどがやけどでふさがってしまい、うまく水や食べ物を摂取できない状態といえるでしょうか…(怖い)。樹の生育が悪くなり、味も美味しくなくなります。
地植えの場合は寄生されてから5年から6年後に、鉢での栽培ではコブが根の全体に拡がると急激に樹勢が衰えはじめ、やがてイチジクの樹は枯れてしまいます。
そのため、正しい防除方法を理解しておく必要があります。
どのような症状がでるの?
根にコブのようなものができますが、他にも以下のような症状がでることもあります。
根 | コブができる他、乾燥や加湿の影響を受けやすくなる。 |
枝 | 今年の枝は伸びが悪くなる。奇形になる。 |
葉 | 小さくなる。秋の早い時期に落葉し始める。 |
実 | 着果数が減る。小ぶりになる。味が悪くなる。 |
また、ネコブセンチュウが根に侵入する際に空けた穴は、土壌伝染性の病気の原因となるカビや菌の侵入を助長し、さまざまな生育不良の原因になることも考えられています。
今回の記事は以上です。サツマイモネコブセンチュウによる影響はとても大きいため、防除がとても重要になります。次回の記事は「サツマイモネコブセンチュウの防除方法」になりますので、お楽しみに♪「いちじくびより」でした!
☆2022年5月27日追記☆
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