失敗から学ぶいちじくの挿し木について

今回はこれから初めていちじくの挿し木に挑戦する方向けに、筆者の経験に基づき「いちじくの挿し木をして失敗したこと」を4つにまとめてみました。この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。

失敗例①袋挿し

これは向き不向きの問題だと思います。筆者の個人的な意見として、効率的に管理したい人や多くの挿し木を行う場合は袋を使用した挿し木は向きません。袋挿しのメリットは何といっても透明な袋で挿し木を行うため、根の張り具合を観察し楽しむことができるところにあると思います。しかし、管理に手間がかかるため、数十本と多数の挿し木をする場合は袋ではなく、苗用ポッドを購入し、挿し木することをおすすめします。

いちじくの挿し木(袋)
いちじくの挿し木(袋挿し)

失敗理由①水やりに手間がかかる

口が細いペットボトルなどを使用し、一つ一つの袋の中に水をいれていく必要があります。その点、ポッドで挿した場合はジョウロなどでまとめて水やりを行うことができて効率的です。

いちじくの挿し木(袋)2
袋挿しは水やりに手間がかかる

失敗理由②湿度過多になり、カビや「ホコリダニ」が発生しやすくなる

袋の中は密封せずとも湿度が高くなります。そのため、挿し木の切り口などからカビが発生しやすくなり、病気の原因となります。胞子が飛び、空気や人を媒介し他の挿し木に広がってしまう恐れがあります。また、高温多湿となると厄介な「ホコリダニ」が発生し、挿し木が全滅なんてことにもなりかねません。「ホコリダニ」は肉眼では確認できないくらい小さな生物ですが、若葉や新芽などに寄生し、挿し木を枯らしてしまいます。新芽の奥に入り込んでいるため農薬も効きづらく厄介な生き物です。

失敗理由③展葉後、葉が袋に当たってしまい、変形、もしくは落葉しやすくなる

いちじくは葉が大きいため、袋で挿した場合、袋に当たってしまい変形、もしくは落葉しやすくなってしまいます。これは、挿すときに袋の上部ギリギリまで土を入れて挿すことで避けることができるトラブルですが、その分土のコストが増加します。

失敗理由④コストが高い

傘の袋入れやスーパーでもらえる小分けの袋で挿している人もいますが、多量の挿し木をする場合、数に限りがあり購入する必要が出てきます。100円ショップで透明の小分け袋を購入し使用している人もいますが、だいたい30枚あたりで100円します。苗用ポッドでしたら、9cmサイズであればダイソーで100個100円、12cmサイズであればホームセンターで100個で300円程度で購入できます。他の手間も考慮すると苗用ポッドを購入することをおすすめします。

ダイソーで購入できる。
小分けの袋。ダイソーで購入できる。

失敗例②箱の中にポッドを直置き

筆者の場合、寒さ対策や風対策のため、スーパーでもらってきた発泡スチロールの箱の中に、ポッドに挿した挿し木を保管していました。箱の中に保管すること自体は悪いことではありませんが、箱の中に直置きしていたため、次の問題がありました。

失敗理由①排水性が悪くなる

苗用ポッドの排水穴は、ポッドの底中央部にあります。そのため、箱に置いた際に穴がふさがれてしまい、排水機能が悪くなり、排水性、通気性が悪化します。排水性が悪いと根腐れやカビなどの原因となり、また根の成長の妨げとなります。

失敗理由②箱の底に溜まった水媒介し、病気が広まる可能性がある

水やりを何回か行っていると、箱の底に水が溜まってきます。信頼できる農家さんや行政機関(果樹技術試験場)等から入手しているのではなく、ネット経由で個人から穂木を購入し挿し木を行っている場合、その穂木の親株が病気に侵されているときは当然その病気を持ち込むことになります。排水された土や水をが箱の底に溜まり、溜まった水を媒介にして箱の中の挿し木に伝染するリスクがあります。

失敗理由③箱の底に溜まった水の排水が手間

一つ一つのポッドを箱から出し、排水を行う必要があるため、非常に手間になります。

おすすめな対策

箱の中で保管する際、底に穴の開いたカゴを重ねて、その上にポッドを置くことをおすすめします。そこに穴の開いたカゴを使用することでポッドの排水性が良くなり、また、重ねることで底から高さができ、箱に溜まった水にポッドが触れることを防ぎます。また、底に溜まった水を捨てる際にはカゴごとまとめて移動が可能となります。筆者はカゴを100円ショップで購入するか、ホームセンターで無料でもらえる苗用のカゴを利用しています。

カゴをつかって排水性アップ♪
カゴの上にのせることで排水性アップ♪

失敗例③直接日差しがあたる場所で保管していた

これは筆者の失敗ではないのですが、以前、イチジクの挿し木の芽が出てこないということで相談を受けたことがありました。話を聞くと、そのかたは日差しが直接当たるところに保管していることが判りました。急いで水を張ったバケツに半日ほど浸けて水揚げを再度行ってもらい、挿し木をし直し、日が直接当たらない場所で保管してもらうようお願いをしました。あとからご連絡をいただきましたが、この方法で何本かから発芽したそうです。失敗した理由は次の通りです。

失敗理由①直射日光に当てて、乾燥させてしまった

植物が日の光を必要とするのは「光合成」を行うときです。発芽前の挿し木に直接強い日差しを当ててしまうと乾燥が進み、枯れてしまいます日の光が直接当たらない明るい室内か、軒下で保管しましょう。

失敗例④植え替えや日の当たるところへ出すのが早すぎた

4月にもなると気温も上がり、挿し木の葉が展葉して元気な新梢が伸びてきます。この時、より成長を促すため日の光が当たるところへ移したり、植え替えを行うと、数日後に葉が元気をなくしてしまい枯れてしまうことがあります。この時期の挿し木はいわゆる「いちじくの赤ちゃん」のようなもの。非常にデリケートですので扱いに気を付けなければいけません。筆者もはやる気持ちが抑えられず、4月中旬ごろ、試しに10の挿し木を植え替えてみましたが、半分以上枯れてしまいました。6月以降に実施すると安心かと思います。

失敗理由①根の成長が不十分

4月や5月の挿し木は一見すると葉も十分展葉され、十分発根もしていそうに見えるイチジクの挿し木ですが、穂木を掘り上げてみるとまだ根の成長が十分でなかったり、まったく発根していなかったりと、意外と根の成長が遅いことに気がつきます。根が十分に育っていないと必要な量の吸水を行えず、ストレスがかかった際に枯れてしまいます。

いちじく挿し木植え替え
筆者も植え替えが早すぎてしまい、失敗してしまいました。

以上、いかがでしたでしょうか。記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。素敵なグリーンライフをお過ごしください♪

☆2022年5月追記☆

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