今回は、いちじくを栽培していると毎年と言っていいほど発生する「疫病」について解説していきます。この記事を読むことで「疫病」の発生原因や症状、予防対策や治療方法がわかります。ぜひ最後までご覧ください。
症状
葉と果実に症状がでます。どちらもたいていの場合は下の段から発生しますが、その限りではありません。下記症状より見極めてください。※枝や幹にでる「疫病」もあります。詳細は別記事を参照してください。
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葉
暗緑色~黒色の不整形の病斑ができます。病斑は大きいことが多く、葉の淵から大きく発症することもありますが、内側に小さな病斑ができることもあります。変色部分はやがて枯死し、乾燥します。雨上がりの次の日に晴れて気温があがると、症状がでていることが多いです。
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果実
暗緑色、または暗紫色の水浸状の病斑ができ、その後うどん粉病のような白い粉状のカビ(胞子)が生じます。くぼみができて変形することもあります。愛知県が公表している「いちじく病害図鑑」より症状を確認できますので、そちらを参照してください。
発生しやすい時期
梅雨時期や秋雨時期、8月の断続的な長雨が続いたときに発生します。
原因
疫病の原因となる菌は土の中にいて、菌は高温多湿を好みます。降雨時に跳ね上がり、葉などに付着して発病します。常に地面が湿っている場所や葉が過剰に茂って風通しが悪い場所で発生しやすいです。
防除
どのような病気でも共通ですが、病気がでないように「予防」をすることが最も大切です。できれば農薬も使用し、発生を抑制したいところです。
【予防対策】
①雨滴の跳ね上がりの防止
- 葉が地面から高い位置になるように樹形を整えます。一般的に、農家さんの間では40~50cm以上といわれていますが、それでも発生するため、家庭菜園で畑で栽培している場合や土のうえに鉢を置いて栽培している場合は、葉の高さが50cm以上になるように仕立てることをおすすめします。
- 鉢で栽培している場合、コンクリートや砂利の上など土以外のところに設置することで、菌を含んだ雨滴の跳ね上がりを防止します。
- 地面に藁などを敷いてマルチングすることで、雨滴の跳ね上がりを防止します。
- 畑で栽培している場合で排水性が悪い場合、排水路を整備し改善を行います。
②通気性の確保
- 多湿とならないよう、結果肢や不要な芽を整理し、通気性を確保します。
③農薬による予防
- 予防剤を梅雨時期前と秋雨前に散布するとかなりの期間抑えることができます。具体的には6月の梅雨前、8月下旬の秋雨前ですが、最近は8月にも梅雨時期のように1~2週間の雨や曇りが続くこともあるため、天気予報を随時確認し判断することが大切です。
農薬は散布後一定期間収穫ができなくなるものが多いです。予防剤、治療剤どちらの場合も農薬を使用する場合は、必ず、正しい使用方法を確認のうえ行ってください。
④健康で丈夫な樹を育てる
- 人間も食べ過ぎると肥満になり、様々な病気にかかりやすくなるのと同じように、肥料(窒素)の与えすぎは樹を病弱に育てます。窒素は徐々に効かし、健康で丈夫な樹を育てることを心掛けます。
【「疫病」がでてしまったら】
放置すると全体へ広がってしまうため、早急に対処します。
①薬剤の撒布による治療
- アミスター10フロアブルなど、登録のある治療剤を散布します。なお、アミスター10フロアブルは「さび病」の治療剤でもあるため、同時に対処が可能です。
疫病が発病している樹の果実は、収穫時に症状がなくても収穫後に発病することがあります。直売所などへ出荷している場合は、薬剤散布を行い病徴の進展が止まるまで出荷するのはやめましょう。
②焼却による処分
- 症状のでた葉や果実は、圃場の外に持ち出し焼却処分します。地面に落ちた果実や葉が翌年の伝染源になるためです。
以上です。ここまでご覧いただきありがとうございました♪素敵なグリーンライフをお過ごしください♪
参考出典;
農文協「イチジク作業便利帳」 真野隆司 編著