【ネコブセンチュウのまとめ・<防除編>】<イチジク>鉢での栽培時

こんにちは!「いちじくびより」です。今回はイチジクの鉢栽培におけるサツマイモネコブセンチュウの防除の方法(予防と治療)をお伝えしていきます。大切に育てていたイチジクの根にコブが!でもどうしたらいいのかわからない!そんなときに見てほしい記事になっています(^^)鉢での栽培でしたら根絶も可能と筆者は考えます。この記事は筆者の経験や農研機構などの各機関の研究情報、農家さんなどから聞いたお話に基づき、個人的な見解を交えて記載しています。みなさんのいちじく栽培のお役に立てましたら嬉しく思います。「サツマイモネコブセンチュウの生態」や「地植えの防除方法(後日掲載予定)」は別記事にて投稿していますのでそちらも併せてご参照ください。

なお、イチジクに寄生する主なネコブセンチュウは「サツマイモネコブセンチュウ」です。以下、「サツマイモネコブセンチュウ」のことを「ネコブセンチュウ」と表記します。

基本的な考え方(予防と治療)

鉢での栽培では、①ネコブセンチュウを持ち込まないこと(予防)。そして、②根にコブができてしまっても、すべて除去すること(治療)。この二つが基本的な防除の考え方になります。詳しく見ていきましょう!

持ち込まない(予防)

苗木の根にコブがないか確認する(購入時)

「信用できる販売店」を除き、特に注意が必要です。ここでいう「信用できる販売店」とは「日本果樹種苗協会」に属するか、「JAの購入先」の苗木生産者のことです。「日本果樹種苗協会」に属する生産者の場合はたいていの場合、ホームページ上に所属している記載があります。「日本果樹種苗協会」に属さない苗木生産者さんから直接購入する場合で「JAと取引があるかどうかわからない場合」や、ホームセンターや園芸店、ネット通販からの購入の場合は特によく根を確認するのが無難です。

休眠期(12月から3月)であれば土を落とし、水できれいに洗い流して、根にコブがないか確認します。休眠期以外の場合、根を傷つけると枯れてしまう可能性があるため、視認できる範囲でよく確認(または、少し土をほぐして確認)してから植え付けます。

道具は良く洗浄する

鉢での栽培において、ネコブセンチュウは人為的に持ち込まれることが原因となります。九州農研機構の研究情報では、ポッド栽培にて新しい用土に対し、2%のネコブセンチュウに汚染された土壌を混和したところ、植物に対する被害が報告されています。植え替えの際など、シャベルやバケツといった道具を使いまわすときはよく洗浄して土を落としてから使いましょう。なお、研究報告には都度消毒が必要な旨記載がありましたがそれはさすがに現実的ではないと筆者は思います(^^;)

土は園芸店のものを使用する

使用する土は園芸店で購入した土を使用しましょう。畑や庭の土には基本的に「ネコブセンチュウ」が潜んでおり、使用は避けたほうが無難です。

直接土の上に置かない

筆者も昨年、痛い想いをしました。鉢で栽培していたイチジクを庭の畑の上においていたため、そこからネコブセンチュウが侵入し、根にコブができていました。石やコンクリートの上に保管するか、土の上に置く場合は防草シートを敷いてからレンガなどで空間を作って保管するなど、直接土に鉢が触れないようにすることが重要です。

根のコブはすべて除去する(治療)

休眠期にコブの根を除去する

写真のように、イチジクの根にコブがあった場合、それは「ネコブセンチュウ」によるものです(イチジクにおいて「ネコブ病」は考えづらい)。

ネコブセンチュウ
ネコブセンチュウのコブ(細い根、太い根どちらにもできる)

イチジクの根にコブができていた場合、休眠期(12月から3月)にコブの付いた根をすべて切り落とします。根の生え際近くまでコブがある場合もありますので注意が必要です。水洗いをしてしっかりと土を落として確認します。コブの付いていない根も一緒に切り落としてしまっても全く問題ありませんので、思い切って根を切りましょう。

休眠期に根を切って除去
休眠期に根を切ってコブを除去する(バッサリ切っても大丈夫)

 

その後、新しい土を入れて春を待ちます。使っていた鉢を再度使用する場合はきれいに洗浄してから使いましょう。

根を切って植え替え
根を切って新しい土に植え替える。根が少ない場合は小さいポッドでOK!

 

下の写真は5月中旬の様子です。暖かくなってくると元気に発芽・発根してきますよ(^^♪

5月後半にもなれば発芽し発根してくる
5月中旬の様子。元気に発芽・発根しました。

農薬は気休め

厳しい見解ですが、農薬は「安心を得るため」の気休め程度(自己満足)と筆者は考えています。イチジク農家さんや農協職員さんにも相談した際は効果は期待できない、というのが共通の認識でした。農薬については地植えでの防除で詳細は触れようと思いますが、一応、ここでもご紹介していきます(※)。

※農薬の使用に関してはラベルに記載の使用方法をよく読んで適切に使用してください。

  • ネマトリンエース(2022年4月、イチジクの登録を確認)

イチジクに登録があるため使用はできますが、ラベルの記載方法から畑での使用を前提していることがうかがえるため、鉢での使用は控えるか、メーカーに問い合わせしたほうが無難です。なお、苗木についてメーカーに問い合わせをしたところ、イチジクに登録があるものの試験事例は成木であるため苗木に関する知見がないため使用はお勧めできないとの回答でした。特に薬害の観点から影響が不明とのことでした。鉢での栽培においても同様の回答ではないかと思っています。なお、畑前提ですが、使用する際はできれば「樹冠下」ではなく土に20cm混和してほしいとの電話での回答でした。

筆者が農薬を使用しない理由

潅水時に流出しやすい点や、ネマトリンエースは有機リン系の農薬であるため、殺虫効果は2週間程度です。この手の農薬は土に混和して使用するのが効果的ですが、たとえば、3月(休眠期)に定植する際や根のコブを除去した後の植え替えの際に農薬を土に混和したとして、ネコブセンチュウが活発に土中に遊出しはじめるのは5月以降なことから効果は薄いと考えています。

また、有機リン系の農薬は発がん性が確認されているため、収穫時に残留しないように、もしくは収穫をしないといった適切な対応が求められます。仮に、休眠期以外で根にコブが確認された場合、4月以降に地表面に農薬を使用することも考えられますが、農薬が残留する可能性を考慮して筆者なら使用しません。すぐに枯れることはありませんので休眠期まで待って、コブを除去する対応をします。なお、生産現場において有機リン系の農薬を使用した農作物は、たとえ「特別栽培」の認証を得ていても、有機の農産物を扱う業者は取引をしてくれないことがほとんどです。センチュウは関係ありませんがオルトランも同様ですね。ご参考までに。

木酢液について

木酢液にネコブセンチュウを抑制・殺虫する効果はありません。ただし、自活センチュウの活性を促し、排出するアンモニアガスによって土中のネコブセンチュウの幼虫を抑制する副次的な効果は期待できます。しかしながら、コブ内に潜むネコブセンチュウや卵に効果がないことや、有機物の少ない鉢での栽培ではそもそも自活センチュウに適しにくい環境であると思われるため、あまり効果は期待できないように思います。

 

以上、サツマイモネコブセンチュウに関する防除(鉢栽培)でした!長くなってしまいましたが、最後までご覧になっていただきありがとうございました!それでは素敵なイチジクライフをお過ごしください♪

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