【いちじく】よくでる病気「さび病」について解説していくよ!

この記事は家庭菜園向けに、いちじくでよくある病気の1つである「さび病」についてまとめています。この記事を読むことで「さび病」の症状や原因、予防方法や治療方法がわかります。「さび病」は毎年といっていいほど発生しやすく、広範囲に伝染してしまう病気です。ご家庭の庭で育てている場合でも農家さんのいちじく畑に伝染してしまう可能性があるためしっかり防除したい病気の1つです。ぜひ最後までご覧いただき、皆さんのいちじく栽培に役立ててください。

さび病とは

さび病は、カビ(糸状菌)の一種である「さび病菌」に感染することで発生する病気です。いちじくの場合、病斑が多くなると落葉し、落葉が著しく進むと最後は木には実だけの状態になります。落葉が進むことで果実の発育や成熟は止まり、正常な収穫はできなくなる恐ろしい病気です。また、次年度の結果肢の成長に悪影響がでると考えられています。空気や水伝染性の病害であり、風や雨だけでなく、作業中に衣服や剪定を行ったハサミなどに胞子が付着し、人が菌を運んでしまうこともあります。

さび病の症状

葉の表面に小さないぼのような斑点(病斑)ができ、葉の裏面にオレンジ色の金属のさびのような粉が現れます。このさび状の粉が「夏胞子」であり、風などで飛散して周囲の葉に伝染します。驚くことに、飛散範囲は2キロにも及びます。そして「夏胞子」とは別に、10月頃になって気温が下がり始めると角張った褐色~黒色のかさぶた状の斑点が葉の裏面に現れます。このかさぶた状の斑点は「冬胞子」であり、越冬し翌年の伝染源となります。感染した葉は病気が進むにつれ黄色くなり、やがて落葉します。
葉の表にいぼ状の病斑がでている
さび病の初期症状。葉の表面に、いぼ状の病斑でている。
葉の裏に褐色色のさび状の粉(夏胞子)がみられる
葉の裏側。茶色いさび状の粉(夏胞子)がみられる。
さび病が進行し、葉が黄色く変色しはじめている
さび病が進行し、病斑が全体に広がっている葉(表面)。

病原菌の生態

諸説ありますが、発病適温は25 ℃前後、潜伏期間は温度によりまちまちですが10~30日で、時期は4月~11月となります。特に8月頃から多く症状が現れ、夏胞子で広く二次伝染します。ピークは9月~10月初め頃です。胞子は空気中を漂い、雨が降ると地上に降り注ぎます。筆者の経験上、雨が降り、その後カラッと晴れた日に発病しやすいように思います。なお、猛暑日の日中でも、葉温は25度前後なこともありますので注意が必要です。

防除対策

どのような病気でも共通ですが、病気がでないように「予防」が最も大切です。できれば農薬も使用し、発生を抑制したいところです。

【予防対策】

  • 風通しを良くし、光が良く当たるようにすることでカビの繁殖を防ぎます。せん定や芽かきを適切に行い、通気性や日当たりを確保します。
  • 薬剤散布により予防を行う場合、発生初期に行います。家庭菜園では初発時期と潜伏期間から8月に薬剤散布を行うのが効果的です。農薬はラリー水和剤など、いちじくに登録のある農薬を使用します。
  • 窒素(肥料)過多にならないように気を付けましょう。どのような病気にも共通ですが、窒素が多すぎると木は弱くなり、病原菌に感染しやすくなります。肥料のあげすぎに注意し、また遅効性の肥料を使用することで徐々に窒素を効かすなどの工夫を行い、丈夫で元気な木を育てましょう。

【さび病が出てしまったら】

  • 発病した葉はハサミなどで切除し、切除した葉は適切に処理します。薬剤散布で治療する場合は殺菌効果のあるアミスター10フロアブルなどを使用します。ただし、治療剤は効果はあっても必ずしも完治するとは限りませんので留意が必要です。
  • さび病により切除した葉や落葉した葉は、園外に持ち出し、深く土に埋めたり、焼却するなど適切に処分します。
農薬には「予防薬」と「治療薬」があります。農薬の使用は必ずラベルに記載の内容に従い正しく使用してください。また、詳細は省きますが、同じ系統の農薬を使用し続けると抵抗性のある菌や害虫が発生する可能性があります。他系統の農薬も使用してローテーションを心がけましょう。
以上です。記事が参考になりましたら嬉しいです。素敵ないちじくライフをお過ごしください♪

参考出典;

愛知県「いちじく病害図鑑」
農文協「イチジク作業便利帳」 真野隆司 編著
さび病が進行し、葉が黄色く変色しはじめている
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