【いちじく】9月の管理

今回は9月の基本的な作業と管理を説明します。ただし、その年の気候や栽培場所の環境、管理の状態により生育状況は変わりますのであくまでご参考までとしてください。なお、この記事では「秋果」のいちじくを前提に記載しています。

9月の特徴

実は小さくなるが甘みが増し、「秋根」が伸びはじめ栄養を蓄える

9月になると残暑は残るものの、朝夕の気温が下がるようになり、日中の気温差が大きくなります。この頃のいちじくはだんたんと果実は小さくなりますが、甘みが増し、とても美味しくなります。日中の気温も下がり始めると収穫のピークは過ぎ、収穫できる量が少なくなり始めます。

また、気温が下がり始め、収穫できる量が減り始めるころには「秋根」が伸びはじめ、翌年の発芽から6月頃までの成長に必要な養分を蓄え始めます。この時期に土を掘り返えすと確認できる「白い根」が「秋根」です。

主な栽培管理

  • みずやり

土が乾燥しないよう、朝に水やりを行います。夜間に水を上げると根から吸い上げられた水が果実に蓄えられ、膨張して裂果の原因となります。

  • 追肥

収穫が終わっていない樹に強い肥料を与えてしまうと栄養が根や樹、枝にいってしまい、薄い味のいちじくになってしまいます。収穫の時期が終わっていない場合、可能であれば葉に液肥を葉面散布し、光合成を促します。光合成により炭素が「糖化」され、果実に蓄えられることで甘みが増します。

防除

この時期に葉が被害を受けると光合成が阻害され、炭素の「糖化」が行われず、「糖」が作られないため実が甘くなりません。また、「糖」は果実を甘くするのはもちろんのこと、樹に栄養として貯蔵されますが、この「糖」が十分に樹に蓄えられないことで、冬の「凍害」リスクが高まり、さらには来年の生育にも影響を及ぼします。そのため、防除をしっかり行い、病害虫による被害を防ぐ必要があります。

特に、この時期は秋雨による長雨により、疫病やさび病が発生しやすく、秋雨による長雨の前に薬剤による予防を行うことが重要です。

また、カラスやムクドリによる鳥害が起きるのもこの時期です。柿が熟すといちじくには見向きもしないため、それまで耐えましょう。

成長が遅い果実について(オイル処理)

※9月はまだオイル処理はいらないかもしれません。10月後半などでよいかと思います。

気温が下がり、実が熟しきれない可能性があるときは、オイル処理を行うことで熟期を早めることができます。桝井ドーフィンくらいの大きさのいちじくであれば、実が緑色で3cmくらいのとき、オリーブオイルをいちじくの目に添付します。

オイルに含まれるオレイン酸がエチレンに分解され、熟期が早まります(エチレン処理)。オイル処理した果実は翌日から肥大しはじめ、色づき始めます。しかし、オイル処理した実は中の空洞が大きくなりやすく(空洞が小さいほど実が詰まり美味しい)、また、熟す前に色づくため、見た目での収穫の判断が難しくなります。触って耳たぶくらいの柔らかさであれば収穫時期と判断しましょう。

添付する量はほんのわずかで大丈夫です!ほんの少しの量で作用するため、かかってないかも?と思うくらいがちょうどいいです。

2021年の関東では、8月のお盆以降は気温が下がり、雨の日が続きました。9月に入っても天候不順が続いており、収穫の時期は例年よりかなり早く終わりそうです。そのようなときはオイル処理を行い、収穫時期を調整してみてはいかがでしょうか。

 

以上、9月の栽培管理でした。秋根が伸びるこの時期、しっかりと栄養を蓄えさせ、来春の成長に備えましょう!それでは良いいちじくライフを♪

9月
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