【イチジクの管理】「実が落ちる」「実が着かない」ことを防ぐ方法について

こんにちは!「いちじくびより」です。今回は「実が付くのに収穫前に実が落ちてしまう」、あるいは「実が全くつかない」「実はつくが玉飛びが発生してしまう」、「スポンジのような実になってしまって収穫できない」といったお悩みの解決方法をご紹介しています。該当するお悩みのかた、この記事が栽培のヒントになっていただけたら嬉しく思います。今回は応用的な話になります。

おことわり

「実が付くのに収穫前に実が落ちてしまう」、「実が全くつかない」、「実はつくが玉飛びが発生してしまう」、「スポンジのような実になってしまって収穫できない」こういった事象はそれぞれが独立した原因である場合もあれば、共通している場合もありますし、必ずしも一つというわけではありません。なので、これからご紹介する原因が必ずしも正解とは限らない点だけ、あらかじめご了承ください。

代表的な原因と対策

筆者が考える代表的な原因は「貯蔵養分の不足」と考えます。もっと具体的に言えば、光合成による活動効率が十分ではないためです。 光合成を通して水や二酸化炭素、根から吸収した養分を、糖やアミノ酸、やタンパク質などへ変換し、それらの栄養素を使用して成長していきます。そして養分(糖)の一部は樹に貯蔵されます。このとき、光合成により作成された糖が十分な量でない場合、「着果しない」「着果したがその後落下する」といった事象が生じます。

そのため、「いかに光合成の効率を上げるのか」がポイントになってきます。夏果と秋果の両方を収穫狙っているけど夏果が落ちてしまう場合にも有効な考え方です。

光合成効率を上げるには

ここで紹介する方法がすべてではありませんし、もしかしたら間違えている可能性もあります。あくまでご参考までにとどめてください。

葉面散布

光合成の活動によって、植物は成長に必要な糖やアミノ酸、タンパク質などを生成します。そこでそれらの要素を直接葉に散布し吸収させることで不足分を補ってしまう、という方法です。さまざまな葉面散布剤があり、それぞれ目的がことなりますが、光合成の効率アップを考えた場合、糖や酢、アルコール、アミノ酸などが含まれているものが良いでしょう。

もっとも簡単な散布剤は「米酢」です。「米酢」の酢やアルコールは糖(グルコース)と同じ原子となっており、植物が糖の代わりにエネルギーとして使用することが可能です。また、「米酢」にはアミノ酸も豊富である点も優れています。「米酢」を100倍に薄めたものを「原液」とし、さらに1,000倍に希釈し葉面散布します。

筆者がもっともお勧めするより効果的な散布剤は「酢酸カルシウム」です。卵の殻を「米酢」で溶かすことで作ることができます。使い方は「米酢」と同じで、100倍に薄めたものを原液とし、使用する際は1,000倍に希釈して使用します。原液は冷蔵庫にて保管します。

根を増やし、守る

植物の活動にかかせない植物ホルモンの大半は今年伸びた「根」で作られます。植物ホルモンが活性化すればするほど、植物の光合成は活発になります。そのため、「今年伸びた根をいかに増やし、守るのか」という着眼点も重要になります。

  • 「根」を活性化させ、増やす

これも様々なことが言えるので、1例だけ…。各枝の生長点である頂芽で作られる「オーキシン」という植物ホルモンが根に到達すると、根が活性化して様々な植物ホルモンが根で作られるようになります。「オーキシン」の生成にはある程度の窒素が必要になると思われるため、窒素のやりすぎは良くありませんが、生育途中で頂芽が閉じて固い三角形になっているときは窒素不足なので即効性の窒素肥料を与えます。

また、根の発育には適度な地中の酸素が必要です。乾燥に注意しつつ、適度な水やりを心がけましょう。

  • 「根」を守る

根が傷む原因の一つは、土中の極度な乾燥と過湿です。そのため、上記の通り、適度な水やりが重要となります。その他、最近の研究ではイチジクもケイ酸を好んで吸収することがわかっており、ケイ酸肥料を使用することで「根」が丈夫になり、乾燥や過湿に強くなることが期待できます。

稲作では実際に使われている重要な肥料で、光合成の促進、いもち病(糸状菌)耐性UPの効果が確認されています。過湿や乾燥に強くなるだけでなく病気にも強くなるため、農薬を減らすにあたって重要な資材として位置付け、筆者も元肥と追肥で使用しています。

また、ネコブセンチュウやネキリムシなどによる被害でも、「根」は傷つき乾燥しやすくなります。基本は農薬を使用することになりますが、ネコブセンチュウに関してはあまり効果は見込めません。

  • 遮光をする

イチジクは葉温が28度を超すと光合成効率が悪化し、32度で光合成の活動が完全に停止します。そのため、異常に暑い日などは「寒冷紗」などを使用して遮光が必要になります。イチジクが光合成で利用できる光分子量(光飽和点)は42,000ルクスです。夏の晴れた日では、午前10時以降午後3時までは42,000ルクスを超えるため(正午過ぎには80,000ルクス近くになる)、遮光をして葉温を下げても光飽和点の光量を十分確保することができます。

 

長くなってしまったので今回はここまでにしたいと思います。あ、今年、買ってきた1年生のビオレソリエスの苗木を畑に植えました。1本の苗木から100個近く、実がついています。栽培が難しくて非常に実がなりづらいソリエスですが、上手に栽培できていると思います。ここで紹介したこと以外にもいくつか意識して栽培しているのですが、また機会がありましたら記事にしたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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ドーフィン夏果
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