【イチジクの管理】多収につながる「節間を短くする」方法をまとめてみた。

以前にも少し記事にしたことがあるのですが、多収のを目指す手段の一つに、「節間を短くする」という方法があります。プロの農家さんでは、収穫量を増やすために狙って「節間を短くなる」ように栽培している人もいます。今回は筆者が知る限りになりますが、「節間を短くする」方法をまとめてみましたのでご覧いただければ幸いです。

①昼夜の気温差を小さくする

こちらは以前に記事にしたことがある内容ですイチジクは昼夜の気温差を小さくすることで節間を短く育てることが可能です。ハウス栽培をしている農家さんの中には、日中はハウス内の温度の上昇を防ぐために遮光カーテンを引いたり、ミストを使用したりし、夜間は窓を閉めるなどして保温したりする人もいます。

家庭菜園では、夏場の日中に遮光ネットを利用したり、鉢植えの場合は反日蔭の場所に移すなどして対応しましよう。

②摘心と福梢を伸ばすことを繰り返す

こちらもプロの農家さんが多収を目指して行っている技術的なお話です。新梢がおおよそ12節程度まで伸びてきたら、一度そこで摘心を行います。摘心後、脇芽がたくさん出るようになりますので、上から二つ目の脇芽を残し、他の脇芽はすべて欠いてしまいます。

残した脇芽はそのまま伸ばしていき、10節伸びたところで摘心します。するとまた脇芽がたくさん出てきますので、あとはこの作業の繰り返しとなります。脇芽から伸びた副梢の節間は短くなりやすく多収につながる、というわけです。

上から二つ目の脇芽を残す理由

イチジクは超芽優勢が強いため、一見すると一番上の脇芽を利用するほうがよさそうに見えます。しかし、実際に利用する脇芽は上から二番目の芽になります。理由は、一番上の脇芽は樹勢が強くなり、玉飛びの発生がでる可能性があるためです。玉飛びがでてしまったら、せっかく節間を短く育てたとしても収量が減るため意味がありませんよね。そこで樹勢とのバランスを考慮し、上から二番目の脇芽を利用するのです。

筆者はこの方法は選ばない

この方法は糖度が落ちる、と言われています(実際に筆者は計ったわけでもなく、参考文献があるわけでもない)。もしかしたら、糖度が落ちない技術があるのかもしれませんが、今のところ筆者は食味が劣るという立場でいるため実践しようとは思いません。見た目が綺麗であれば高値で買い取ってくれる市場だしと異なり、顔を出して品質(味)で勝負している個人なため、一度でも美味しくないイチジクを作ってしまえばお客様にそっぽを向かれてしまう可能性があるからです。

誤解のないように補足しますと、決してこの方法を批判しているというわけではありません。たくさん収穫出来たら嬉しいと思いますし、食味が落ちるというのもそもそも味覚には個人差があるため、差を感じないという人もいるかもしれません。要は何を重視するのか、でよいかと思います(^^)筆者は味のところであえてリスクを取る選択は選びません。

③水を切る・窒素を少なめに施用する

この方法でも節間を短くすることができます。“なぜか?”水がなければ“光合成”を行えず、養分を作ることができません。また、窒素は“光合成”を通してアミノ酸や糖、タンパク質に同化します。タンパク質は幹や枝などを構成する重要な要素で、窒素が不足していると、植物は新たに枝を伸ばしたくても十分には伸ばせなくなります。

④カルシウムを施用する

細胞壁が固くなると植物は丈夫で固くなり、病害虫に強くなります。その一方で柔軟性はやや失われ、枝の伸長も緑色をしていた時に比べ鈍くなり、結果として節間が短くなります(節間が長くなりづらくなる)。

細胞壁は主にセルロースとペクチンから構成されており、ペクチンとカルシウムが結合することでペクチン酸カルシウムができ、細胞壁が固くなります。

いちじくとカルシウムの関係性については別記事を参照してみてください。

⑤光の当たるところで育てる

これもどちらかというと、節間を短く、というよりは長くしないための方法です。植物はあまり日の当たらないところで育てると、日の光を求めて間延びしながら成長していきます。ヒョロヒョロっと徒長気味に生育します。そのような生育を防ぐためにも日の光が当たる場所で育ててあげましょう。

筆者は「①④⑤」

なお、筆者は、肥料はしっかり効かせつつ、④⑤を意識して栽培しています。将来的には設備投資を行い、①のうち、湿度を上げて日中の気温上昇を抑えられたらとは思っています。②はどこかのタイミングで実験はしてみたいです。

以上、「節間を短くする」方法のまとめでした。何か一つでも皆さんの気づきになるようなことがあれば嬉しいです。最後までご覧いただきありがとうございました。「いちじくびより」でした。

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